フーナラ小説を書く時はエロにしようと心に決めていました。



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仕事が終わると、ナランチャはフーゴと共に彼の部屋に寄った。
休みの日の前日は、フーゴの部屋に入り浸り、雑誌を読んだり好きなアニメ番組を見たり、そして時々勉強をした。
二人はキスもするし手も繋ぐが、恋人だと断定できるような関係ではない。
愛の告白などはどちらからもないし、肉体関係を持っているわけでもない。
中途半端な関係を、もうだいぶ長い事続けていた。

そして夕飯を食べ終わった今ナランチャは、フーゴのベッドを我が物顔で陣取り、雑誌をのんびりと眺めている。
すると不意に、テレビから流れていたニュースの音声が途切れた。
急に室内がしんとしたので、ナランチャはフーゴへと振り返る。
テレビの電源を消したらしいフーゴはおもむろにベッドに腰を掛けると、ナランチャの読んでいた雑誌を奪った。
何をするんだ、と抗議の声を上げる前に、フーゴが口を開く。

「ナランチャ。明日君、非番でしたよね?何か予定は?」

そんな事を改めてフーゴが聞いてくるのは珍しい。
ナランチャは少し疑問に思いながらも、質問に答えた。
「特にないよ。フーゴもだよな~。どっか行く?」
「いえ、行かないです」
「ちぇ。じゃあなんで聞いたんだよ。いいよミスタと遊びに行くから」
フーゴに奪われた雑誌を取り返そうと腕を伸ばす。
するとその手を掴まれた。
意外なほどに強い力で、思わずフーゴと目線を合わせる。
「それも駄目です。と言うか無理でしょ、きっと」
「は?なんで」
意味を尋ねている間に、勢いよく肩を押される。
視線が天井へとひっくり返った。
押し倒された事に気付くと、目前に影のかかったフーゴの顔があった。

「ナランチャ」

そのどこか含みのある名前の呼び方に、ピンと来る。
咄嗟に何かを言いかけたが、一度飲み込んだ。
ナランチャは眉を下げて情けない声を出す。
「・・・い、いきなりかよ」
動揺はしっかりとフーゴに伝わったようだ。
フーゴは溜息を漏らす。
「君にとってはいきなりかもしれませんが、僕にとっちゃずいぶん前からです」
「ええ!?えー・・・」
初めて聞く事実に、戸惑いを隠せない。
フーゴの下で、ナランチャは肘を立たせて逃げ腰になる。
「俺どっちかって言うとそう言うのはちょっとなァ~・・・けっこー懲りてるし」
フーゴを好きな気持ちはあっても、いまいち肉体関係を持つ踏ん切りがつかないでいた。
と言うのも、浮浪者時代に大人から性的な乱暴を受けた事があり、忘れがたい過去となっていたからだ。
それはフーゴも知っているはずだった。
「君からそう言う空気は感じていたんで、僕も押し通そうとは思わなかったんですけどね」
「・・・じゃあなんで急に」
「さぁ」
「さぁってなんだよ」
フーゴは一息ついてから、あまり言いたくなさそうに呟いた。
「・・・君を愛してるからとか、僕のものにして安心したいとか、色々言う事はできるけど。ただ単にヤりたいだけかもしれないので。言い訳はしません」
それがフーゴの率直な気持ちだと言う事は、ナランチャにもよく分かった。
普段のフーゴの性格からすると、こんなに素直な気持ちを伝えて来る事は珍しい。
心配だ、とは言わずに、君が駄目だから、と言うのがフーゴだ。
これは相当な覚悟があって踏み切ったのだろう。
そう思ったら振り払う事はできなかった。

「分かった。いいよ、フーゴ。そこまでフーゴが言うんなら」

なかば折れる形となったが、同意したナランチャに、フーゴは意外そうに目を瞬かせる。
「なんだよ、その反応。俺だってなるべくフーゴが喜んでくれたらって思ってるのに」
「それは・・・初耳でした」
「どーせお前、自分ばっかりって思ってるんだろ」
ナランチャは意外と人の気持ちには聡い所があった。
普段が頭の悪い発言が多いので、こう言う時に改めてはっとさせられる。

ナランチャはフーゴを引き寄せると、そのままごろんと転がり体勢を逆転させた。
上へ来たナランチャに、フーゴは分かりやすく嫌そうな顔をする。
「君がそっちをやるんですか?」
「だって俺の方が年上だぜ」
「・・・僕年下なんで、やり方がよく分からないんですよね」
とぼけた口調で年下、にアクセントをつけて言う。
「だから男役やっていいですか?」
そう言うと、ナランチャは急に気をよくしたかのように、瞳を輝かせた。
「そっか、フーゴあんま知らないんだ。そっか」
自分が年上風をふかせられるのがよっぽど嬉しいのか、ナランチャはへらっと笑う。
「じゃあいいよ」
ちょろいやつめ。
表情には出さず、フーゴはそう思いながら、ナランチャの下から抜け出た。
(僕にはいいけどね)
多分誰にだってこうちょろいのだ。
そう思うと嫌気がさした。
いつもそうだ。
ナランチャが笑うと嬉しいのに、その笑顔が誰にでも向けられているから、ついイライラしてしまう。
フーゴはナランチャの頬骨に手をそえると、唇を合わせた。
キスくらいは今までもした事はあったが、これからそれ以上の事をすると思うとひどく興奮した。
舌を絡み合わせながら、ナランチャの服の上から体をまさぐる。
筋肉はあるが、全体的には細く骨ばった体だった。
フーゴの指が直接肌に触れると、ナランチャの体がびくっと動いた。
感じている訳ではないのだろう。
逃れようと体が引けている。
その腰をがっしり掴んで、服を胸の上までたくし上げた。
「やめてとか待ったとか、無しですよ」
「わ、分かってるよ・・・」
行き所のない指がシーツを硬く掴んでいる。
ナランチャを安心させてやりたい気持ちはあるのだが、正直な所フーゴにそんな余裕もなかった。
胸元に舌を這わせながら、右手をナランチャの下腹部に持って行く。
服の上から撫で回し、そして金属音を立ててベルトを外しファスナーを下げた。
下着の中に手を入れようとした瞬間、ナランチャが声を上げる。
「わ~やっぱ待って!」
「無しって言いました」
ナランチャの訴えは無視し、これ以上うるさい事を言わせないように唇で塞いだ。
中心をゆるく掴んで扱くと、次第に熱を持ち始める。
「っ・・・」
ナランチャの首の下に腕を通し、肩を掴み抱き寄せた。
ただ少しでもナランチャの近くに居たかった。
そのまま手の動きを続けると、ぴく、ぴく、とナランチャの体が動く。
「フーゴ、苦し・・・」
息が乱れてきたのか、唇を離される。
その顔を見ると、頬が少し紅潮していた。
いつもはきりっと釣り上がった眉もやや下がり、目尻に赤みが差している。
ナランチャが苦しがったにも関わらず、フーゴはもう一度舌を絡めさせると、手の動きを速めた。
「っ・・・、フー・・・ゴ・・・」
服を掴み、呼吸を荒げて名前を呼ぶ。
ナランチャが気持ちよさそうにしている事が見て取れると、フーゴは手を離し口元へ持って来る。
自分の唾液で指を湿らせると、今度はナランチャの背中の方から手を回した。
「お、お前、何すんの」
される事くらい分かっているのだが、非難の声を上げずにはいられない。
フーゴは何も答えず、指で入り口を撫でた。
(わ~~マジか~~・・・)
本当にする気だこの男・・・、とナランチャは改めて思った。
指から逃れようと身じろぎすると、更に体がフーゴと密着した。
こんなに隙間なくくっ付いたのは初めてだ。
指が少しだけ中へと入って来ると、ナランチャはびくりと身を震わせる。
痛い訳ではなかった。
ゆっくりとしたペースで一本の指がすべておさまると、フーゴは空いた手でナランチャを抱き締めながら言った。
「分かっていたけど。初めてじゃないですね」
「・・・だぁから言ったろー。俺顔可愛いからさぁ」
「自分で言うな」
「へへ」
「君は可愛いですよ。くそ、可愛い」
自棄になったような口調で言い、額に唇を押し付けながら指を動かした。
出し入れをするとくちゃ、くちゅ、と言う液体音が聞こえる。
最初は我慢していたナランチャだが、しばらくすると眉を寄せてフーゴの肩を押す。
「っ・・・やめて、その音」
フーゴは動きを止める。
「嫌いなんだよ、それ・・・聞こえんの・・・」
「ああ・・・」
理由はなんとなく理解した。
きっと雨の日になると必ずフーゴの部屋に寝に来るのと、同じ理由なのだろう。
「でもそんな事言われてもね」
性行為をするのに避けて通るのは難しい。
しかしフーゴは何かを考え付いたのか、いったん指を抜くと、上半身を起き上げた。
「・・・舐めていいですか」
「へ?どこを?」
質問に答える前に、フーゴはナランチャの腰を抱いて持ち上げた。
ナランチャの姿勢が自然と四つん這いになる。
「ちょっ・・・」
ズボンと下着は膝まで下がっていたので、邪魔な腰に巻かれた布をずり上げようとすると、ナランチャがそれを手で押さえつけ制した。
「ッお前さ」
「音聞こえるのがイヤなら黙ってて下さい」
間髪あけずにそう言われ、ナランチャは仕方なく口を閉ざした。
フーゴの指先が尻に触れ、そして入り口を舌でぬるっと撫でられる。
「ッ・・・!」
舌の表面で何度もゆっくりと往復され、きゅっと体が縮こまった。
確かに舌と密着している為、音は鳴らないが、かなりじれったい感覚だ。
次第にナランチャの吐く息も熱くなってくる。
「おっ・・・おまえ、こんな事・・・するなんて、ド変態だな・・・」
「ド変態はどっちだよ」
ナランチャの起ち上がった自身を手のひらで撫でる。
「ぅぁっ・・・」
ほんの小さくだが、初めて嬌声が聞こえた。
フーゴは舌打ちをする。
焦れているのはフーゴの方だ。
本音を言えば、頭を押さえつけてとっとと突っ込みたい。
だけどトラウマをえぐる様な真似だけはしたくない。
その二つの感情がせめぎ合っていた。
フーゴは舌で撫でながら、もう一度指を中へと入れた。
あまり動かさないようにしながら内壁を広げ、じっと待つ。
慣れた頃に指を増やして中を撫で付けた。
ナランチャの太腿がわずかに痙攣する。
フーゴの位置から顔は見て取れないが、枕の端をぎゅっと強く握っているようだった。
音を立たせないようにゆっくりと指を抜き差しすると、がくっとナランチャの膝が折れる。
シーツにはぽたぽたと落ちた液体が、染みを作っていた。
どんな顔をしてこんな痴態をさらしているのか、フーゴは見たくて仕方がなかった。
(見たら終わるな)
見てしまったら、とてもこんなに焦れた愛撫を続けられそうにない。
フーゴがまた緩慢な動きで指を奥まで入れる。

「あ、あ・・・!」

脳を突くような声だった。
フーゴの心臓の音が途端にうるさく鳴り響く。
中から指を引き抜き、ナランチャの肩を鷲掴むと、仰向けに倒した。
もう知るか、と言う心境だった。
「ふ、フーゴ・・・?」
体勢を急に変えられ驚いているのか、ナランチャは瞳を丸くさせる。
そして自分のベルトを外し始めたフーゴに、慌てるように手のひらを向ける。
「ちょ、ちょっと待ってよフーゴ。いくら俺がヤられ慣れてるからって」
「言うな、そんな事」
ナランチャの膝裏を掴むと、窪みに自分のものをあてがった。
「う、嘘・・・」
ナランチャの瞳が細くなる。
顔をそむけ、シーツをきゅっと握った。
フーゴはナランチャの腕を掴むと、そのまま腰を押し進めた。
「ッ・・・くぅ・・・っ」
さすがにキツいのか、ナランチャは下唇を噛み締める。
入るには入ったが、圧迫感が強く浅くしか息を吸えない。
「っ・・・力、抜いて下さいよ」
「む、り・・・」
「なんで・・・ヤられ慣れてんだろ」
先ほど言われたセリフをそのまま返してやれば、ナランチャはまぶたを閉ざし、搾り出すような声で言った。

「でも・・・好きな人とするのは初めてだ」

その言葉でフーゴははっとなり、少しだけ冷静さを取り戻した。
「・・・ごめんなさい、ナランチャ」
掴んでいた腕から手を離す。
「・・・抜きますか?」
「いや・・・大丈夫・・・でも、ちょっと待って・・・」
このままではお互い辛いだけだ。
ナランチャは少しずつ息を吸い、ゆっくりと吐き出す動作を繰り返した。
掴んでいたシーツからも手を離し、フーゴの首に回させる。
視線が絡み合った。
お互い初めて見る表情だった。
視線を合わせて口付けし、確かめるようにもう一度瞳を見た。
しばらくそうして啄ばむようなキスをしていたら、体も解れて来たのか、辛さが薄くなっていた。
「動いても・・・大丈夫だよ」
ナランチャにそう言われて、フーゴは中に入っていた自身を少しずつ抜いて行った。
一度止まると、またゆっくりと腰を押し進めて行く。
それを繰り返して行くと、性器の密着感が高まり、双方の息が熱くなった。
「っ・・・、ッ・・・!」
内壁を擦られ、体がびくっと跳ねる。
さらに勃ち上がりかけているものも指で扱かれると、自然と足が閉じフーゴの腰を挟んだ。
(・・・フーゴのが・・・俺の中に・・・)
少しでもそう意識すると、口が開いて行く。
今にも声が出てしまいそうだった。
ナランチャの眉がぴくっぴくっと動く。
力を込めれば声は我慢できるかもしれないが、きっとフーゴが辛いだろう。
そしてゆっくりと内壁の奥を突かれた時、ナランチャはいよいよ耐え切れなくなった。

「ぁっ・・・あぁあ・・・っ!」

フーゴの動きが一瞬ぴたっと静止する。
ナランチャは自分の声に驚いて、口元を手のひらで覆った。
「い、今のなし・・・!」
「なしって。聞こえましたけど」
唇を隠している腕を掴んで退けさせる。
ナランチャは眉を寄せて唾を飲み込んだ。
「ば、馬鹿にすんだろ」
「しませんよ」
否定した声のトーンが、今までになく優しく真摯だった。
「しない。本当に」
不安そうに見上げて来るナランチャの額にキスをすると、フーゴはまた少しずつ腰を動かし始めた。
「っ・・・、ぁ・・・」
フーゴの気持ちが伝わったのか、ナランチャも安心しているようだった。
表情が緩み、眉が下がって行く。
「はぁっ・・・ぁ、あ・・・フーゴぉ・・・っ」
背中に腕を回して服を掴む。
顔が近づき、唇が合わさると舌を絡めた。
「あ、ん・・・っん・・・っ」
その頃にはすっかり液体音も耳に入らなくなり、ただフーゴの切羽詰った顔と、押し寄せてくる快楽に夢中だった。
「ナランチャ・・・、・・・は・・・っ」
フーゴの視界と思考にも、今はナランチャしか居ない。
それがこんなにも満たされた気持ちになると思わなかった。
ナランチャは不意にフーゴが、なぜか泣き出しそうな顔をしていた事に気付いた。
真意を問うように、頬に手を差し込んだ。
その上に手を重ねながら、フーゴが口を開く。

「・・・ずっと好きだったんだ」

言えなかった。
フーゴの唇から愛がこぼれた。
ナランチャはそれを受け取って、同じように返した。
「俺も好きだよ」
手を回して抱き締める。
何度もキスをしながら、体の繋がりをより深くし、お互いを求めて行く。
フーゴの長い前髪がナランチャの顔にかかると、それを搔き上げた。
現れた顔に心臓がずきりと痛くなった。
ナランチャ、と呼ぶ声も、いつもと違って低く優しい。
最後の方はもう、その声すら夢か現実かの区別がつけられなかった。







次にナランチャがはっと意識を取り戻した時は、シャワールームの浴槽の中だった。
急に動いたのでばしゃっと顔にお湯が跳ねる。
「ああ、起きましたか」
凄く近くでフーゴの声がした。
背後からナランチャを抱いて浴槽につかっているらしい。
「・・・何コレ?どう言う状況?」
「あなたが意識を失ったんで、その間に風呂に入れてやってるんですよ」
「はぁ・・・そーゆーこと・・・」
気が抜けて後ろに寄りかかると、フーゴの肩に頭を乗せる体勢となった。
なんだか全身がだるい。
湯で額に張り付いた髪を払う気力も無い。
言葉を発するのも面倒だったが、ナランチャは言わずにはいられなかった。
「人を意識失わせるまでやんなよ・・・」
「僕が悪いみたいに言うな。君の精神力が足りなかったんじゃないの」
「なんだと・・・」
イラっとして顔を振り返らせる。
しかしフーゴはナランチャの首に顔を埋め、腰に手を回して抱き締めた。
「・・・やめて下さい、こんな時ぐらい」
「・・・こんな時ってなんだよ」
らしくも無くくしおらしい態度を取るフーゴに、ナランチャが前に向き直る。

「・・・こんな幸せな時ぐらい」

とてもフーゴの口から出て来る言葉とは、信じられないセリフだった。
ナランチャが押し黙っていると、フーゴはその顎を救い上げてキスをする。
頭の先から爪先まで熱くなり、のぼせ上がりそうだ。
それがお湯の温度にやられているのか、恋心にのぼせているのか、どちらかは分からなかった。





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