『ラブ・トーキング!』

護衛と暗チはなかよし。


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ナランチャはブチャラティの帰りを待っていた。
帰ると言っていた時間よりずいぶん遅い。
時計と玄関口を交互に見ながら、任務で何かあったのかと心配していた。
夕食もとっくに食べ終わり、食後のオレンジジュースもそろそろ飲み終わる頃だった。
ようやく玄関の扉が開かれ、ナランチャは席を立ち上がった。
「お帰り!ブチャラティ」
「ああ、ただいま。先に寝ていてもよかったのに」

心配してたんだよ、と言おうとした時、突然口内に異変を感じて口元を押さえる。
この妙な感覚は前にも感じた事があった。

「ナランチャ・・・?」
どうかしたのかと、ブチャラティが顔を覗き込んで来る。

「別に、ブチャラティの事なんて全然心配してねーよッ!」

ナランチャの口から出た言葉は、本心とは真逆の言葉だった。
ブチャラティは一瞬疑問符を浮かべたが、すぐに納得して頷く。
「そうか、だったらなおさら先に寝ててよかったんだぞ?」

(うわあ~!これ"アレ"じゃねーかッ!なんだっけスタンド名忘れたけど・・・ちくしょ~~オレンジジュースに入ってやがったなッ!)

なんの目的があってかは知らないが、ナランチャが飲んでいたオレンジジュースにトーキング=ヘッドが紛れていたのだ。
トーキング=ヘッドとは、舌に取り付き嘘しか言えなくなると言う、ティッツァーノのスタンドだった。
「ブチャラティ!俺があんたにそんな事言うのは当然だろう!(言うワケないだろ?)」
荷物をソファに置いていたブチャラティが、眉を寄せながら振り返る。

「・・・どういう事だ?俺が何かお前にしたのか?」
「そうだよ!(違うッ!)あんたは俺を怒らせるような事しかしない!(何もしてないって!)」

(そうだ喋れば喋るほどロクな事になんねーんだこのスタンドッ!)
前に被害にあった時の事を思い出して、ナランチャは青ざめて頭を抱える。
何か言おうと近寄ってくるブチャラティに向かって、ナランチャは叫んだ。

「俺の側にいてよ!(来るなッ!)」

(な、ん、だ、それぇ~~!!最高にめんどくさい女みてぇなセリフはいちまった~~!)

「・・・・・・」
ブチャラティは何も言わずナランチャを引き寄せ、腕の中におさめた。
強く抱きしめ、目線を合わせる。

「すまなかった。帰りが遅くなった事を、そんなに怒るとは思わなかったんだ」

(ち、違ぇ~~!任務で遅くなってどーしてブチャラティが謝んだよ!)
むしろ労いたいよ!と腕の中でもだもだと地団駄を踏む。

「許してはくれないか?」
「許さない(許すに決まってる)」
「そうか・・・もう俺が嫌いになったか?」
「大嫌いだ!(大好きだよブチャラティ!)」
「・・・別れたいって事か」
「ああ、そうだよ早く別れたくてしょうがない!(絶対離れない!)」

さすがに驚いている様子のブチャラティに、ナランチャは泣き出しそうになった。
(俺・・・こんなヒドい事ブチャラティに言うなんて・・・最悪だ・・・)
好きな人に嫌いと言う事が、こんなにもダメージがあるとは思わなかった。

ナランチャが涙を滲ませ黙りこくっていると、不意にブチャラティがナランチャの口に親指を突っ込み上を向かせる。
「がッ・・・!?」
口を大きく開かせ中を覗き込むと、やれやれやはりかと言った感じに、ため息を吐き出した。

「あんまりうちの子をいじめないでやってくれないか?ティッツァーノ」

聞こえているんだろう?と念を押す。
ナランチャはブチャラティを見上げると、人差し指を立てて静かに、と言う合図を送ってくる。

「スクアーロは今、ティレニア海でクルーズ中らしいな。・・・船に穴を開けて沈めてやろうか・・・?」

ブチャラティのスタンド能力をもってすれば、造作もない事だった。
するとスッっとナランチャの口内から重さが消え、ブチャラティが手を離す。
もしかして、と思いナランチャは口を開いた。
「ブチャラティ!俺、心配したんだよ。帰りが遅かったから・・・言えた!」
ブチャラティは笑ってナランチャの頭をぽんぽんと撫でる。
「そうか。ちょっと手間取っただけで何もなかったさ」
「良かった~~」
ブチャラティが無事に帰ってきたことも良かったし、トーキング=ヘッドが外れた事もおおいに良かった。
「あの野郎ッ!許さねぇぜティッツァーノ~~!」
「あいつらイタズラ好きだからな。悪気はないんだろうぜ」
「イタズラじゃ済まねぇよー俺あんな事ブチャラティに言っちまってよぉ~~」
苦悶の表情を浮かべて唸っていたが、ふと気付いたように顔を上げる。

「そう言えばブチャラティ。なんで俺がスタンド攻撃されてるって分かったんだ?」

ブチャラティは一瞬きょとんとして目を開いた。

「お前が俺から離れたいと思うワケがないだろう?」

へんな事を言うやつだ、と言わないばかりに、ブチャラテイは肩をすくめて当然のように答えた。
その揺るぎ無い考え方に、ナランチャは顔から火が吹き出そうだった。
そ、そうだね・・・とたどたどしく答えると、ナランチャは赤くなった頬を隠すように、ブチャラティの胸元に顔を埋めた。


ほんと、大好き!




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