弱虫ペダルログ置き場
新開×今泉
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  11 12 13 14 15 16 17 18 19 20  21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  31 32 33 34 35 36 37 38

漫画 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  11 12 13 14 15 16

小説 1 2

兄今
絵小説 1 2
御堂筋×今泉
1 2 3 4 5 6

漫画 1 2 3 4

金今
1

鳴今
1 2
荒今 絵小説 1 2 3 4

荒東
1 2

その他色々 絵 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 『君に恋した』(1) (2) (完)
デュラララ!!ログ置き場
シズイザ 小説 『部屋から出たくない』 ※R18 『人目』 『惚れた弱み』 『待ち合わせ』 漫画  絵  (ツガサイ) (ドタロチ要素) ドタイザ 漫画 ミカイザ 小説 『触れてはいけない』シズイザ要素 漫画 ドタろち 小説 『身代わり』 シズろち要素 『週末の恋人』 ドタイザ要素 『謝恩』 『分かりやすい男』 ドタイザ要素 『最後の人』※R18 『見えない明日(1) (2) (完)』 『俺の気も知らないで』 『この盃を受けてくれ』※R18 『二通りの関係』シズイザ要素 『過ぎ行く海岸線(1) (2) (3) (完)』 『恋の撮影現場』(前) (後) 漫画     6 絵         10 11
四木ろち 漫画 11 小説 『ファーストクリスマス』 『アフタークリスマス』 ※R18 『新年早々』 『不意打ち』 『知るも知らぬも地獄の沙汰 正ろち 絵  5 6 漫画  小説 『2回目の許諾』※R18 その他  To羅丸

『過ぎ行く海岸線【完結】』


門田は車を病院の駐輪場に停車させると、一目散に病室へと走った。
病院内を走ってはいけない。
普段なら門田が一番気にしそうな常識的な部分も、すっかり頭から抜け落ちていた。
千景がいるであろう部屋の前まで来ると足を止めて、息を切らしながら室内を見る。
窓際に、横たわる千景の姿があった。
体中に包帯が巻かれ、足にはギプスを固定されて、静かに瞳を閉じている。
「・・・千景!」
思わず大きい声を出してしまった。
近寄ると、千景は薄っすらと瞳を開く。
「・・・あれ?京平さん・・・?なんで、ここに・・・」
「臨也から聞いたんだ。バイクで事故ってここに入院してるって・・・」
千景はそうか、と言うように小さく頷いた。
弱々しく見える体を掻き抱きたい気持ちを抑えて、門田は拳を作って握り込む。
「すまない・・・、俺が海を見に行けばいいなんて言ったから・・・!」
そして、毛布の上に出ている千景の手を握った。
千景はその様子を見て、きっと臨也がすべてを言ってしまったのだと気付いた。
「・・・同情か。あんたは優しいからな」
「違う、千景、今まで気付いてやれなくてすまなかった」
握った手を、両手で包む。
「俺もお前の事が好きだ」
言われた言葉がすぐに理解できず、千景の顔がかっと熱くなった。
うろたえながら、なんとか返事をする。
「そんな・・・そんなの、嘘だろ・・・、だって、あんたはあいつが・・・」
門田は短く首を振った。
「ただ心配で側に居てやりたかっただけなのを、何年も続けちまって・・・。お互いためにならねぇって分かってたんだが」
門田は過去の事を思い出したかのように、表情を歪ませた。
「臨也にははっきり言えなくて、後戻りができない所まで来ちまった。だからもう後悔しないように、お前にはちゃんと言いたいんだ」
千景の頬に手を差し込み、目線を合わせる。

「好きだ、千景。お前が好きなんだ」

そう言われた千景の瞳には、薄っすらと涙が浮かんでいた。


◇◆◇◆◇


一週間後の昼に、ひょっこりとある男が病室に顔を覗かせた。
千景は来るかもしれない、と思っていたから、さほど驚きもしなかった。
「やあ」
臨也はフードに付いたファーを寄せながら、病室に入って来る。
そう言えばもうそんな季節になっていたのだ。
紅葉は終わり、落ち葉となって地面に絨毯を作っているのだろう。
臨也のズボンに木の葉が付いていた。
千景は起き上げられるようになった上体を腕で支え、臨也を見上げる。
「どう?具合は。跳ね飛ばされた割には、足の骨折一本だって?ホント頑丈だよね」
「担ぎ込まれた時は輸血してもらったけどな。まぁ過ぎてみれば骨にヒビが入っただけだ」
「はは。そりゃあシズちゃんに殴られても、びくともしない訳だ」
臨也は呆れるように肩を竦めた。
壁に背をつけ、腕を組み黙っていると、病室の窓から冷たい風が吹きカーテンを揺らす。

「・・・いいのか、あんたはそれで」

不意に切り出された千景の言葉に、臨也は壁から背を離した。
「京平さんの事、好きだったんだろ?」
「・・・そうだね」
臨也はあっさりと認め、背を向けると部屋の扉に一歩ずつゆっくりと近寄って行き、ぴたりと足を止める。
「ドタチンが好きだと思ってる子に譲ってあげるくらいは、好きだったよ」
扉の前まで来ると、臨也は千景に振り返った。

「俺はしばらく姿を消すよ。そうでもしないと忘れられそうもないからね。・・・ドタチンをよろしく、千景くん。ああ見えて、結構寂しがりやなんだよ、ドタチンは。おっきい体してるクセにね」

臨也は落ち着いた口調でそう言って、病室を後にした。
彼が去った後の病室に、また冬を感じさせる冷たい風が吹いた。


千景が自由に動けるようになって、まっさきに向かった先は、隣の棟の病室だった。
見舞う相手は、千景の父だった。
千景が事故だと病院から知らせを受けて、まっさきに飛んできたのは、仕事中の父親だったらしい。
出血多量の千景を見て、すぐさま自分の血を使って欲しいと名乗り出たそうだった。
限界まで輸血をして、その後年のせいもあってか、倒れて入院してしまったのだ。
千景は入院中にその話を母親から聞いて、動けるようになったら、絶対に顔を見せに行こうと決めていたのだ。

病室までたどり着くと、父親はベッドにふせっていた。
近くには先に来た母親が座っている。
「親父」
声を掛けて近寄ると、頭だけ千景の方を向けた。
ひどく弱っている、と言う印象を受けなかったので、とりあえず千景はほっとした。
「・・・聞いたよ、母さんから」
久しぶりにまともに父親の顔を見たかもしれない、と千景は思う。
「倒れるまで無理する事なかったんじゃねぇの」
照れくささもあって、きつい言い方をしてしまう。
すると父親はしっかりとした声で言った。

「馬鹿野郎、俺はお前の父親だ」

千景は自分の手をぎゅっと握った。
何か話し出したら泣いてしまいそうだったので、何も言えなかった。
しかしあせる事は何も無い。
これから少しずつ話していけばいいのだから。


◇◆◇◆◇


退院の当日になると、門田が車で迎えに来る事になった。
わざわざ口約束をした訳ではないが、自然とそう言う流れになっていた。
門田の車に乗せられ、部屋にたどり着くと、数週間しか住んでいないのに懐かしい気分になる。
来た時の様に、床は散らかっていない。
本来の門田の部屋のように、書物や小物は、あるべき場所に格納されていた。
キッチンから、コーヒーカップを片手に一つずつ持った門田が戻ってくる。
その様子を眺め、千景は少しだけ笑った。
「手、良くなったんだな」
「ああ」
門田は負傷していた方の手を、握ったり開いたりして見せる。
「おかげさまでな。医者にも回復が早いって言われたぜ」
「はは、あんた体力あるから」
二人とも話しながら腰を下ろし、コーヒーに口をつけた。
しばらく静かな時間が流れる。
門田の手が治り、千景の家庭の事情が解決したとすると、一つの答えに行き着いてしまう。
それは避けられない道だったが、千景の口から言い出すことは出来ないで居た。
「そう言えば、ケガの間やってた試験勉強って終わったのか?」
「いや、ありゃ年1回の試験だからな。今年はもう受付終了してんだよ。まぁ来年だな」
「そうなのか」
とりとめのない話題で、繋ごうとしてしまう。
きっと門田は、そんな千景の気持ちを分かったのだろう。
話は門田から切り出された。

「・・・千景。家族と少しは向き合えるようになったんだろ?そろそろ帰んねぇとな」

ぎくっと千景の体が強張る。
やはり言われてしまったか、と手を握り込んだ。
千景は俯きながら、小さい声で尋ねる。
「・・・なぁ、俺帰んなきゃ駄目・・・?いや、駄目だよな。そりゃそうか・・・」
離れると分かると、もっと一緒に居たい気持ちが増長してしまう。
うな垂れた千景の頭を見つめると、門田は一つ息を吐き出した。
「ああ、お前には帰る家がある」
千景は顔を上げる。
今にも泣き出しそうな千景を、腕を伸ばして抱き寄せた。
「・・・またいつでも来ていいからよ」
「本当か・・・?」
千景からも門田の広い肩に手を回す。
「休みが合えば泊まってもいい」
「うん」
「別にそんな遠い距離じゃねぇよ。お前はバイクだって乗れんだろ?」
「ん」
門田は千景のクセのある髪の毛に手を差し込み、頬を寄せた。

「俺も時間を作ってそっちの方へ行くよ。・・・お前に会いにな」

千景はそれを聞くとようやく安心したように、長い息を吐き出した。





そして千景が退院の準備をして居る時に、気づいた事がある。
病室内の棚の上に置いておいたはずのストローハットが、なくなっていたのだ。
その代わりに達筆な文字で
「これくらいもらってもいいよね」
と言うメモが置かれていた。
これはきっと、臨也が書いた文字なのだろう。

あの男が、ストローハットを被るのだろうか。
その不釣合いな姿を想像して、少し笑ってしまった。



END
『過ぎ行く海岸線【3】』


門田が高校生の時の話だ。
クラスメイトに、一風変わった青年が居た。
折原臨也と言って、飄々と生きているような人間だった。
見た目のよさも手伝って、臨也は人目を引き付けた。
本人いわく「人を愛している」らしいので、自分に関心を向けられる事は苦ではないようだ。
より人の目を自分に向けようと、臨也は周囲の人間に対して、自ら仕組んだ策略にはめる事を楽しんでいた。
そんな事を続けていると、臨也の周囲に人が寄り付かなくなるのは、時間の問題だった。
誰も彼もが臨也を恐れ、一歩どころか何十歩も引いて接するようになった。
臨也はそんな人間ですらも愛おしいと言う。
一度だけ、臨也に聞いた事がある。
「お前は本当にそれでいいのか」
と。今思えば、そう聞いてしまった事がすべての始まりだった。
臨也は、本当にこれでいいんだ、と言った後に、両手で顔を覆った。

「・・・時々、目の前が暗くなるんだ。・・・助けてよ」

彼の弱音を聞いたのは、これが最初で最後だった。


◇◆◇◆◇


千景は埼玉を通る荒川の河川敷に佇んでいた。
日が沈むにはまだ早い時間だが、過ぎ行く風はすっかり秋のきざしだ。
この特攻服では、少しだけ肌寒く感じる。
千景はそうやって特攻服を風にはばたかせながら、川の向こう岸をなんとなく見やっていた。
そして門田の、嫌な事があったら海に行け、と言う言葉を頭の中でぼんやりと反芻していた。

「腹でも壊したんすか」

横から聞こえてきた声は、To羅丸の副長のものだ。
コンクリートの低い塀に、地に足を着け膝を広げて座っている。
膝頭の上で頬杖をつきながら、千景と同じ方向を見ていた。
「・・・なんでそうなる」
「いや、なんか苦しそうな顔してたんで」
「違ぇよ。考え事」
「へぇ、珍しい。総長が考え事なんてするんすね」
「まぁ、お前よりかはな」
副長は同じ学校の一つ年上だったが、留年しているため学年は一緒だ。
その上To羅丸に入隊しているので、千景に対して敬語を使っている。
副長はようやく千景の顔に目線を向けた。
「何考えてたんすか?」
千景は腕を組み、軽く息を吐き出した。
「んー・・・。俺地元好きだけど、海はねぇよなって」
「ないっすねぇ。なんもない町っすから」
すると千景は組んでいた腕を解き、踵を返す。
「・・・決めた。俺ちょっと単車走らせてくるわ。お前チームの面倒見とけよ」
「ええ?今日集会の日じゃないですか」
「大丈夫、お前ならまとめられるって!じゃあよろしくな」
バイクが停めてある所まで、一気に駆け出す。
この胸の内に積もった鬱憤を、何かで晴らしてしまいたかった。

バイクの前まで来るとサイドスタンドを足で蹴って車体を支える。
軽い身のこなしでまたがると、エンジンを掛けた。
大袈裟にならない程度には改造してあり、マフラーの音が低く響いた。
アクセルをふかすと、首都高へと上がって行く。
そのまま東京湾まで走るつもりだった。
幸いにも夕方になりそうな時間ではあるが日は出ているし、渋滞もほとんどない。
スピードを加速して行くと、気持ちまで上々して行くようだった。
ちらっとメーターをみると、裕に100キロは超えている。
しかし小菅ジャンクションに差し掛かると、車が列を成していた。
(これだったら下りた方が早いか)
千景は首都高から、一般道へと方向を変えると、幸運な事に下の道は比較的空いていた。
(これならもうちょっとスピード出してもいいかな)
高速道路での早い速度が、感覚を鈍らせていた。
もう少しだけ、もう少しだけ、と言う気持ちで段々とスピードを上げて行く。
周りの景色が目に入らないほど、正面だけを一点集中して見つめていた。
ふと、速度メーターに目を落とした時には遅かった。
その超過速度にぎょっとしたのと同時に、目の前をトラックが横切って行く。
急ブレーキをかけ、車体を斜めに倒した。
しかし自分でコントロールしきれず、タイヤが滑りボディとアスファルトがこすれ、火花を散らした。
次いで何かに強く衝突すると、バイクと千景は分離され、車体が道路を転がって行く様子が見えた。
駄目だ、と一瞬思った。
その先はまるでスローモーションでもかかったかのように、思考も周りの状況もひどく遅く感じた。
(京平さん――!!)
心の中で叫んだのか、実際声に出して叫んだのかはもう分からなかった。
空中に放り出された千景の身は強く地面に叩きつけられる。
全身から強い痛みを感じた。
遠くの方で、救急の音が聞こえたような気もする。
薄れ行く意識の中で、千景は門田の顔を思い出した。

あんたの事が死ぬほど好きだ。
どうせ死ぬなら、そう伝えておけばよかった。


◇◆◇◆◇


千景が事故だと知らせを受けたのは、意外にも臨也からだった。
情報屋と言う職業を考えれば驚く事ではない。
しかし門田を慕っている人間の話を、臨也が口に出す事は今までになかった。

臨也は門田の部屋に居た。
ソファに座り、指を組んで床を見つめている彼に声をかけた。
「行かなくていいの」
門田はしばらくたってから、臨也の方を向いた。
きっと俺を試しているのだろうな、と門田は思っているのだろう。

「・・・ドタチンは俺じゃなくて、千景くんが好きなんでしょ」

門田が目を丸くしている。驚いているのだ。
臨也の言葉端に、なんの皮肉も嫌味もなかったからだ。
ただ事実を、穏やかな口調で紡いでいた。
臨也の表情は、夕日にあたってオレンジがかって見える。
門田が何も言わないでいると、臨也は一つ息を吐いた。
「千景くんは君の事が好きなのに」
「まさか・・・」
ようやく返事をすると、臨也は眉を寄せて笑った。
「気づいてなかったの?ホント鈍いんだから」
まさか本当に何も知らないと思わなかった。
これでは千景は大変だっただろうと、臨也は胸中で思う。
臨也はもう、心の中の整理をすでにきちんと済ませていた。
だから今から言う言葉も、よどみなく、自然に言えた。

「でも君のそう言うところが好きだったよ・・・本当に。さよなら、京平。」

最後に名前を呼ばれ、門田は思わず目頭が熱くなった。
臨也は背を向けると廊下を渡り、靴を履き、玄関から出て行った。
扉がしまる音が部屋に響く。
そこでようやく、門田は立ち上がって、小さく臨也の名前を呼んだ。
結局自分ではどうしてやる事も出来なかった。
側にいるだけで人を救おうなどと、なんておこがましい考えだ。
門田はそう思って、目蓋をきつく閉ざした。





ドタチンとろっちーの力関係が好きです。
不良に絡まれて苦戦してる所をドタチンが現れてあっさり不良を倒してろっちーが怒るとか萌える。
ドタチンはなんで怒られたのか分からない。


ふう。そろそろシズイザに戻りたい…
流行に乗りたい・・・
でもろっちーが本当に好きすぎて!
今ドタろちのエロ小説書いてるんですが
ちょっと引くぐらい長くなりました。


そろそろ小説に題名つけたり、一覧を作らないと見づらくなってきてしまいました。
カップリングも色々だし、絵も小説もばらばらだし、どうやって表示すれば見やすいのか悩みます。
なんだか昨日から突然トムシズが熱いです。
近々全3話くらいで書きたいです~。




千景は慣れた足取りで、京平の部屋があるマンションの階段を上がっていた。
京平は仕事で少し遅れるそうで、先に部屋で待っているように言われたのだ。
上着のポケットに手を突っ込み、鼻歌を小さく響かせながら階段を上がり終わると、突然視界に現れた男にぎょっとして驚く。
男は京平の部屋の前で座り込み、膝を抱えて項垂れている。
見た事のあるその姿に、なんとなく色々と察して、千景はため息を吐き、こちらを振り向こうともしない男に声をかけた。
「・・・あのさ、あんた折原臨也さんだっけ」
そして臨也はようやく、顔を上げた。
千景は面倒そうに後頭部を掻く。
臨也の名前を知っていたのは、京平の話題に出る事が多い人物だったからだ。
「いつもそんな風にこれ見よがしに待ってんの?今カギ開けるからさ、中に入ってなよ」
dtrc6_20100511185828.jpg
千景は扉の前に回りこみ、カギを取り出しながら言った。
「・・・ドタチンは?」
不機嫌そうな声だ。
千景とは目線を合わせようともしない。
「ドタチン?・・・ああ、京平さんの事か。もうすぐ帰ってくるって。ほら」
ドアを開いて、入らないのか?と言う意味をこめて首を傾げる。
すると臨也は眉を寄せて、すくっと立ち上がった。
「帰る。ドタチンによろしく」
「え?」
急に背中を向けて歩き出す臨也のあとを、思わず追ってしまった。
階段を二つほど下がった臨也の肩に、手を掛ける。
「おい、すぐ帰ってく・・・」
言葉の途中で、伸ばした手をパシッと払われた。
一瞬時間が止まる。
臨也は千景を睨みつけ、ぎりっと歯を噛んだ。
「俺のものだったのに・・・」
千景は臨也の言動や行動について行けず、ただ相手の表情の凄みに驚いて一歩下がる。
「ドタチンは俺のものだったに・・・!」
強い口調でそう吐き捨てると、臨也は顔をそらして走り出してしまった。
さすがに追いかけようとは思わなかったが、去って行く背中から目を離せずにいた。

「千景?」

そこへ京平の声が、背後から聞こえた。
振り返るといつもの優しい表情がそこにあって、千景は安心感を覚える。
どうやら京平はエレベータを使って上がってきたようだった。
「京平さん、今・・・折原臨也って人が来てて」
「臨也が?それで臨也は?」
「んー、帰ったのかな」
「そうか・・・」
声のトーンを落として答える京平を、横目で見つめる。
(・・・あからさまにガッカリしてんなよな)
千景はそう思い、京平の腰をばしっと叩いた。
「追っかけたら今なら間に合うだろ。行ってやれよ」
「いや、でも」
「臨也って人。なーんか泣きそうなツラしてたぜ?俺のことは気にしなくていいからよ」
千景は京平を安心させるように、にっと笑う。
京平は一つ頷き、千景の頭を帽子越しに撫でた。
「すぐ戻ってくるからよ。先に部屋に入ってろ」
そう言って京平は臨也の後を追って走って行った。

(あー俺ってやさしい・・・)

千景は一人、心の中で呟いた。


◆◇◆◇◆


「臨也!」
息を切らして走ってくる京平に、臨也は進ませていた足を止めた。
京平はようやく追いついて側に立ったが、 臨也はまた歩き出してしまう。
つられるように京平も、並んで足を踏み出した。
「京平サン、だってさ。・・・変なの」
千景の京平の呼び方の事を言っているのだ。
言葉の割りに、本気で馬鹿にしているようには聞こえない。
「ドタチンの方がよっぽど変だろうが。・・・まぁ今更呼び方なんざどうでもいいけどよ。何か用事があったんじゃなかったのか?」
「用事がないとドタチンに会いに来ちゃいけないの」
「そうじゃねぇよ」
京平は臨也の横顔を見つめた。
誰が見ても機嫌が悪そうだと思うような表情をしている。
すると不意に臨也が、京平に質問を投げかけた。
「ねぇ、俺と千景くん、どっちが大事?」
「どっちって、お前なぁ」
少し呆れた様子で、息を吐き出す。
「二人とも不良に絡まれてたら、どっちを助ける?」
京平は頬を指先で掻きながら、一息置いた。
「・・・お前だよ」
「ホント?」
「お前の方が腕っ節が弱ぇからな。千景はああ見えて結構ケンカ強ぇんだよ」
明るく笑う京平に、臨也は口を尖らせてむすっとする。
「俺が望んでた答えじゃない」
「お前の望みを叶えるのは、俺の役目じゃないだろ?」
暗に静雄の事を言っているのだ。
視線を落とす臨也の肩を、軽く叩いた。
「いつでも来ていいからよ。あんましスネんな」
「でも俺また千景くんに絡むよ。嫌な言い方するよ」
自覚はあるのか、と京平は苦笑した。
「大丈夫だって」
ぴたりと歩を止めると、臨也も足を止めた。
京平の顔を見上げると、にやっと笑っている。
「千景は見た目どおり、男前なヤツだからよ」
臨也は、何それ意味わかんない、と小さく文句を言った。


◆◇◆◇◆


部屋に戻ると、千景はベッドをソファ代わりにして、テレビを見ていた。
いつもの定位置に、思わずくすりと笑んだ。
「すまなかったな、千景。嫌な思いをさせちまったか?」
「ん?いーや、別に大丈夫だぜ」
裏がある様子もなく、本当に気にしていないような口ぶりだ。
「臨也もあれで根は悪ぃヤツじゃねぇんだけどよ。ちょっと変わってるっつーか」
「ただの寂しがり屋だろ?」
不意に零した単語に、京平は少なからず驚きを覚える。
あの折原臨也を「ただの寂しがり屋」と表現したのは、きっと千景が初めてだろう。
千景はテレビから目を離すと、京平を見上げた。
「寂しそうな子って基本的にほっとけないんだよなー。アンタも構ってやれよ?」
そう言って千景は軽く笑う。
京平は、千景を「男前」だと言う表現が正解だったと、改めて感じた。


>めんたさん
初めまして~ご訪問ありがとうございます^^
めんたさんもドタチンサイト作ろうと思ってるんですね。
ぜひ作りましょうよ~遊びに行かせてください!
臨也の涙はもちろん目薬ですw
かまってちゃんな臨也萌えです。
背景のドタチンが切れてるのは、元からでした^^;
上手く入らなくって。
↓フルバージョン置いておきますね。
ご期待とは違った絵だったらすいません(>_<)
ドタチン難しいです~。
コメント有り難うございました^^



クリックで拡大
10202650.jpg

ドタチンの気を引きたい臨也(でも本命はシズちゃん)、臨也をつい気にかけてしまうドタチン、それを見て逆毛を立ててるろっちー。の三角関係が好きです。


「ドタチンは一生俺の事が好きなの。分かる?別れたらそれで終わりの千景くんとは違うの」
「何だよ、この失礼な奴!京平さん、なんか言ってやれよっ」
非難の目を京平に向けると、仕方がないと言った表情で息を吐いた。
臨也の肩に手をぽん、と乗せる。
「臨也、今日の所はお前が帰れ。先に約束していたのは千景だからな」
言い諭すように伝えると、臨也は口角を上げて笑った。
「じゃあ明日ならいいの?ドタチン、明日仕事休みでしょ」
「ああ、明日なら・・・」
「京平さん!」
すかさず千景が叫んだが、京平は何が悪いのかが分からないように、首を傾げているだけだった。


「京平」
大きく手を振りながら向かって来るのは、千景の姿だ。
京平はもたれ掛かっていた壁から背を離して、千景の方へと体を向ける。
顔を見ると、自然と表情がほころんだ。
「こら。年上を呼び捨てにするんじゃない」
そうは言っても、勿論本当に怒っている訳ではない。
千景もそれは分かっていて、軽く笑いながら答える。
「京平さん、遅れてごめん。ちょっと集会が長引いちまって」
集会、と言う単語に、京平は片眉を上げた。
千景は埼玉にある、To羅丸と言うチームの総長だ。
いつも顔や腕に巻いている包帯を、京平はなんとも言えない気持ちで、見て見ぬふりをしている。
「それはいいが、・・・千景?顔色悪くないか?」
千景は咄嗟に、かぶっていたストローハットを更に深く被ろうとして、つばに指先をやる。
その動作を制止させようと、京平は千景の腕を掴んだのだが、顔色よりも今掴んだ腕にぎょっとする。
「千景」
「・・・はは、慌てて手当て受けてきたからさ。」
そう言って千景は苦笑いをした。
京平の手のひらには、薄っすらと血液が滲んでいる。
包帯でも押さえ切れない傷口が、その皮膚にあると言う事だ。
ふと胸元にも目線を配ると、シャツの隙間からガーゼが目に入る。
京平は深く溜息を吐き出すと、掴んでいた腕を離し、手を繋がせた。
「京平さん」
歩き出す京平に、ストローハットを押さえながら付いて行く。
「映画は止めだ。怪我人連れて歩くほど、俺も鬼じゃねぇよ」
「大丈夫だって、これぐらい。いつもの事だからよ」
「いいから、来い」
「どこに?」
千景は首傾げた。
京平は足を止めて振り返る。
「俺ん家だよ」
一瞬時が止まったように硬直して、千景は視線を地面に下ろした。
顔の赤さを、京平に知られたくなかったからだ。


◆◇◆◇◆


「腕、上げろ」
京平に言われた通りに、 千景は軽く腕を上げる。
胴体に新しい包帯が巻かれて行った。
「怪我はこれだけか?足は?」
「平気」
簡素なベッドに乗り上げ、治療をするその手つきは、手馴れているように見える。
ふと、近くで自分の半裸を見ている京平の視線を意識すると、なんだか気恥ずかしくて目線を反らした。
周囲を見ると、 部屋は男の一人暮らしの割りに片付いていて、清潔な印象を受ける。
「ほら、これでいいだろ」
救急箱に余った包帯をしまう京平を、千景ははにかみ笑いをしながら見つめる。
「ん、ありがとな。随分上手いじゃねぇか。なんかやってたのか?」
「やってたっつかーか、まぁ、やらされてたっつーか・・・」
「あぁ、ケンカで?」
「俺じゃないんだけどな。一人手の掛かるやつが居たんだよ」
京平は何か含むような言い方をすると、救急箱をしまおうと立ち上がった。
千景は眉を寄せて京平の背中を見やる。
(なんだよ、手の掛かる奴って。てか俺は仮にも恋人だっつーの。部屋に上げといていつも通りかよ!・・・まぁそれが京平らしいけど)
胸中で一通り文句を言うと、すっきりした気分になった。
京平は救急箱を棚に戻しはしたが、背を向けたまま動こうとしない。
疑問に思って、問いかけてみる。
「どうかしたのか?京平さん」
「いや」
背後からでも、京平が口元に手を持っていった動作が見て取れた。
「服、着ろ。早く。俺の理性が保てる内に」
京平の言っている言葉の意味が分かると、千景は無造作にベッドから立ち上がった。
足を進め、京平に近寄って行く。
大きい背中に、背後から手を回し抱き付いた。
京平は拒否をする訳でも驚く訳でもなく、ゆっくりと千景の方へ振り返った。
千景の細い輪郭へ、吸い寄せられるように無骨な指が伸びる。
ほんの少しだけ、京平が背を屈めたその時。

来訪を告げるチャイムの音が鳴り響いた。

何も悪い事をしている訳ではないのに、二人ともびくっと体を震わせた。
無視してしまおうか、と思っていると、立て続けにチャイムの音がうるさく鳴る。
「・・・ったく。あいつか」
京平は小さく呟くと、千景から離れて玄関へ向かった。
(あいつ・・・?)
千景は引っかかりを感じて、今立っている場所から扉の方へ目線を向ける。

「ドタチンー。開ーけーて」
「分かった分かった」
カギががちゃっと開き、京平はドアを押した。
そこには満面の笑みを浮かべた臨也が立っている。
「何度もチャイム鳴らすクセやめろって」
「だってドタチンが出ないんだもーん」
「そんな待たせてないだろ。それより急にどうしたんだ?」
「借りてたCD、返しに来た」
「・・・わざわざ?」
「なんで?駄目だった?」
「いや、・・・そう言う訳じゃないが」
臨也が差し出してきたCDを、少しの疑問を残しつつも受け取った。
京平は一度後ろを振り返ってから、もう一度臨也を見やる。
「よかったら上がってお茶でも飲んで行くか?中に一人いるが」
「えー、いいよ。俺おじゃまでしょ?今日天気いいから、このまま出かけようかなーって。ドタチン達も、家に引きこもってなんかいないでさ。散歩でも出かけたら?」
「あぁ、そうだな」
「じゃ、まったねー」
「臨也」
すでに歩き出している臨也を呼び止める。
臨也は顔だけ振り返った。
「気をつけて帰れよ」
その言葉に応えるように、臨也は手を振って去って行った。

京平は一つ息を吐き出すと、部屋の中へと戻って行く。
「誰だったんだ?」
千景は当然の疑問を投げかける。
「ああ。高校時代の友人だ」
それ以外、京平は何の説明もしなかった。
ベッドの上に放ってあった千景のシャツを取ると、 肩に被せてやる。
「・・・出かけるか。移動は車ですれば、怪我も大丈夫だろ」
なんとなく、このまま二人きりで部屋にいるのも、とお互いが思っていた。
臨也の来訪で、場の空気が少し変わってしまったようだ。
「おう。そうだな」
千景はシャツのボタンを閉じながら、明るい口調で答えた。。


◆◇◆◇◆


(あれが六条千景くんね・・・)

臨也は歩きながら携帯の画面を確認する。
画面には、千景の氏名、年齢、住所、家族構成、学歴まで事細かな情報が羅列していた。
(可愛い顔してたな。まぁ、俺には負けるけど)
開いていた携帯を器用に閉じると、小気味のいい音が鳴った。

「人の物を横取りするなんて、許されないよねぇ」

臨也は一人呟き、肩を揺らして笑った。




<END>

dr2_20100422100012.jpg

↑くろ太さんにドタろち小説読んでもらったら、こんな素敵な絵を描いてくれました。
ろっちー可愛い~。理想のドタろちです。
しかもさん付け!原作でろっちーはドタチンの事を特に名前では呼んでないんですが、
この先呼ぶ事はあっても多分京平か門田だろうな~。
くろ太さんにもっとドタろちにはまってもらえるように色々書きたい^^


2010.04.16
縦長漫画



ピクシブで初めてランキング入れました。嬉しかったです。

ドタチンが似ない…難しい…
あの帽子どうなってるんだろう。
雷神組とかも描きたい!
学生時代のシズちゃん可愛いよー
シズちゃんを一人ぼっちにさせるよう臨也が仕向けてるとか萌える。