弱虫ペダルログ置き場
新開×今泉
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四木ろち 漫画 11 小説 『ファーストクリスマス』 『アフタークリスマス』 ※R18 『新年早々』 『不意打ち』 『知るも知らぬも地獄の沙汰 正ろち 絵  5 6 漫画  小説 『2回目の許諾』※R18 その他  To羅丸
四木六

1期が終わって早4年か・・・長かった・・・
デュラにハマった当初、まさか4年後も四木ろちでもえてるとは夢にも思いませんでした。
六条大好き!

でもそう考えると相方さんと知り合って5年以上経つのかな?おそろしいね?月日の流れって!

もうすぐ5部オンリーですね。
実はひっそりとギャンパラ出てます。
居るだけですけど笑
2011.05.23
バナ絵
ヘッダーの絵を変更したので、古いヘッダ絵を置いておきます。
hedrochi.jpg


近々このブログを改装します。
他のジャンル(テイルズ・弱虫ペダル)と統合する事になりますので、どうぞよろしくお願いします!



--------------------
『恋の撮影現場(後編)』



セットは完成されていて、大きなベッドの周りを囲むように、照明器具が置いてある。
今回は男Bが男Aを、デート帰りにホテルに誘った、と言うような設定らしい。
ただAV業界では、そんな細かい設定はわりとどうでもいい。
どうせベッドシーンから始まるのだ。
千景はとりあえずベッドの端に腰を下ろした。
すると京平が腕まくりをして、方膝を千景の隣に載せ、上から見下ろしてくる。
(あ、帽子外したんだ・・・)
いつも被っていたニット帽は、撮影の時はさすがに取るらしい。
額から撫で付けられた髪までもが、男らしく見える。
「目、つぶってろ」
「え?」
「いいから」
千景は言われた通り目蓋を落とすと、スタッフの声が響いた。

「じゃあ回しますねー、はい、3、2、1・・・」

掛け声が掛かると、京平の手が動いた。
今まで話し声が聞こえていた現場も、途端に静かになる。
京平の息遣いまで聞こえてきそうだった。
指先が、頬に触れる。そのまま髪に差し込み、千景の顔を上に向かせる。

「千景」

名前を、呼ばれた。
その瞬間心臓が大きく高鳴った。
別に本名を呼んだわけじゃない、この役の男の名前を呼んだだけだと言うのに。
唇が覆い被さってくる。少し厚めの男らしい唇だった。
何度か啄ばむように軽く口付けられた後、舌が侵入してくる。
「・・・っ」
舌が混ざり合う、独特のぬめった感覚だ。
あまり激しくもなく、緩やかに伝わって来る生暖かい感覚に、少しだけ千景の緊張が解れて行く。
(キス、上手い・・・)
一体京平がどれくらいこの仕事をしているのかは分からないが、現場の空気からは、自分より大分先輩なのだと言う事は分かっていた。
千景は無意識に、自分からも欲しがるように舌を伸ばす。
そこで口が離され、千景の唇からは伸ばされた舌が淫らに映し出されてた。
「・・・脱がしていいか?」
すべてを許容するような、優しい口調だった。
千景は言われるままに頷いた。
シャツのボタンに無骨な指が伸びる。
服を脱がせながら、京平は耳元に唇を寄せ、耳朶を甘く噛んだ。
「・・・好きだよ」
聞こえてきた言葉に、ぞくっとして全身粟立った。
勿論これは京平の告白なんかではなく、その役の雰囲気作りの言葉だ。
それは分かっているはずなのに、心臓の鼓動がおさまらない。
「お前は・・・?」
そう聞かれて、千景は口ごもってしまった。
肌を撫でて行く指が、吐息を熱いものにさせて行く。
今の自分が言葉に出したら、何かまずいのではないかと危機感を覚えた。
京平は千景の後ろに座ると、背後から腕を回し、はだけた胸元を優しく撫でて行く。
「ちゃんと言ってくれたら・・・ 骨まで溶かしてやるよ」
わざとだ。
千景は分かっていた。
先ほど低い声が好きだなんて言ったから、わざと耳に唇を寄せて、艶のある声を響かせているのだ。
ただそれが本当にうっとりする位心地が良くて、ぬるま湯に浸かっているように頭がぼうっとして来てしまう。
口が自然と薄く開き、声がこぼれる。
「す・・・好き・・・」
「ん?」
「あ、あんたが・・・好きだ・・・、っ」
言葉になった声は、自分でもびっくりするぐらい上擦っていた。
聞いてる方はこれが演技だと言うのなら、大層な役者だと思うだろう。
京平は顎を掴んで顔を上げさせると、唇を交わしながら千景のジーパンのホックを外し、ジッパーを下げた。
「足、開け」
聞こえるか聞こえないか、それぐらいの小さな声で、千景に指示する。
言われた通り少しだけ開くと、京平の腕が下腹部を掠めた。
下着の上から擦るように何度も撫で付けてくる。
足が震えた。
恐怖や怒りで体がわなないた事はあったが、快楽で震える事があるなんて知らなかった。
根元の部分を少し強めにきゅっと握られると、体が大袈裟なぐらいびくっと跳ねる。
「なんだ、苛められんのも好きなんじゃねぇか」
耳元でそう聞こえた気がした。先ほどと同じように、かなり小さな声だ。
「なら、目ぇ開いてみな」
千景は最初に京平に言われた事を律儀に守って目を瞑っていたのだが、ここに来て、薄くゆっくりと瞳を開いてみた。
まず驚いたのはその光量だ。かなり眩しく感じる。
目が慣れてくると、照明の間に人が立っている姿が見える。
他人に見られているのだ、と初めて意識した。
京平が背後に回ったのも、足を開けと言って来たのも、カメラで撮影しやすいようにだったのだ。
そしてあの小さな声は、マイクで拾えないようにする為だったのだろう。
千景は急に羞恥心が襲ってきて、全身に熱が広がって行った。
「あ・・・あ、・・・」
震えた声が荒い息と共に零れる。
カメラの大きなレンズを向けられると、なぜだか目を逸らす事ができなかった。
京平は引き続き右手で下腹部を愛撫し、左手で胸元の突起物を摘むと、首筋を舌を立てて舐め上げた。
「ひぁ・・・っぁ、ちょ、・・・待・・・っ」
突然色々な箇所を攻め立てられ、千景は背筋をのけぞらせた。
興奮して立ち上がっている千景のそれは、先端部分だけ下着から露出していて、布に濡れた染みを作っている。
京平は布越しに千景自身を上下に扱いた。
「はぁ・・・っ、ぁ、そんなの・・・駄目・・っ出る、声出ちゃうからぁ・・・っ」
口から出て来る喘ぎ声は、まるで嬌声のように喜んでいるように聞こえた。
心臓の強く打っている音が自分でも分かる。
(あ・・・やばい、ぶっ飛びそう・・・)
まるで自分の体ではないように、コントロールが効かない。
刺激が物足らなくて、自分で腰を動かし始めてしまった、その時。

「カッート!1回テープ止めます!」

一瞬、何を言われたのかよく分からなかった。
途端にスタッフが動き出し、がやがやと雑音が聞こえて来る。
千景は完全に京平に預けていた背中を、はっと気付いて起こした。
振り向くと、京平は指先についた液体をぺろっと舐めて、千景と目線を合わせる。

「ガキ」

口端を上げて笑みを浮かべる京平に、千景はこのまま逃げ出したいような気持ちに駆られた。
何も言い返せぬまま、ほてった体だけが恥ずかしくて、前のめりになってベッドに手を付く。
なんだか急にぐったりと疲れてしまった。
「お前。そんな顔してんのに、AVなんてもったいねぇぜ」
言われた意味が分からず、顔だけ上げて訝しい表情をした。

しばらくするとスタッフがやって来て、カメラの調子が悪くなってしまい、これ以上は今日は撮影できないとの説明を受けた。
事務所にはこれから説明するとの事だったが、千景はこのやるせなさをどこにぶつけていいのか分からなかった。
脱がされたシャツのボタンを止めて行くと、京平から話しかけられる。
「プライベートで抱いて欲しけりゃこの後付き合ってやるよ」
千景は眉を上げてきっと睨み付けた。
「いらねぇよ!調子に乗ってんじゃねぇっ」
つい手が出てしまいそうになって拳を振り上げると、その腕を逆に掴まれてしまう。
「っと。そうか、じゃあアレは全部演技だったんだな。大したもんだぜ」
軽い口調で笑いながら立ち上がって、京平は周囲に挨拶をしながらスタジオを去って行った。

(もう二度と会いたくねー!)

千景は心の中でだけ叫び声を上げた。


◇◆◇◆◇


しかしそうは言っても、月曜になると工事は始まってしまう。
千景はいつものように工事の音で目が覚めて、ぼさぼさの頭を指で梳きながら、窓の方へと膝で歩いた。
なんとはなしに京平を目線で探し始めた所で、はっとなって目を開く。
「何やってんだ俺はっ。この間あんな事があったばっかじゃねぇか・・・」
慌てて窓から退こうかと思った時に、先に京平側から見つけられてしまい、手を振って来た。

「・・・完全に見えてんじゃねーかよ・・・」

そう呟いて引きつり笑いをしつつも、一応手を振り返しておいた。


学校に行くために制服に着替え、家を出る。
もちろん工事現場の横を通り過ぎなくてはいけない。
「よぉ」
今日はわざわざ待っていたのだろうか、京平が敷地の外側に出ていた。
「・・・うす」
小さい声で返事をする。
「撮影、来週の日曜になったらしいな」
「ん。昨日連絡来た」
「丁度いいじゃねぇか」
丁度いい、意味が分からず、顔を上げて首を傾げる。
京平は千景の肩に腕を置き、耳元に口を寄せた。

「慣らすの手伝って欲しけりゃ、いつでも呼べよ」

かぁっと顔が赤くなり、肩にある腕を振り払う。
京平は面白そうにくすくすと笑って、帽子を目深に被り直し、仕事に戻って行った。
その後姿を見送って、深く溜息をつく。
「最悪・・・」
一人がっくりとうな垂れると、先が思いやられ、千景は頭が痛くなった。




<END>
2011.04.11
四木ろち絵
ピクシブに随分前に上げたものなんですが、ブログに上げておくのを忘れていました。
すいません><

これかなり前に描いた覚えがあったので、私は一体いつから四木ろちとか言い始めたんだろう・・・
と思ってブログをさかのぼってたら、なんと去年の10月から騒いでました。
もう四木ろちとか言い始めて半年。早いものです。
しかし相変わらず私とくろ太さん以外で四木ろちを描いてる人を見た事がないですww
いつか流行るって信じてる!



sikirochi.jpg

4月6日は四木ろちの日!





『知るも知らぬも地獄の沙汰』


赤林さんの策略にまんまとはまった俺も馬鹿だとは思う。
確かにちょっとおかしいとは思ったよ。
でもやくざの仕来たりなんて知らないし、そう言うものかと思って。
なんだかその後数日も、赤林さんの唇の感覚が残って抜けなかった。
俺だって力は強い方なのに、腰に回された腕がびくともしなかった。
遊んでて、力が強くて、口が上手いなんて、相当タチが悪い。

これは早い所四木さんに伝えた方がいいのかもしれない。
一度弱みを握られると、このまま続いたり悪化してしまう可能性もあるし、
何より俺に手出しをされたら、四木さんの身が危ない。
粟楠の会長に認められたと言う事は、四木さんが責任を持って俺を管理すると言う事らしい。
守れなかったら、なんらかの制裁があるのだろう。
四木さんのためにも、一応こう言う事があったと伝えるべきだと頭の中で整理して、顔を上げた。

考え事をしながら歩いていたら、目的の場所までたどり着いていたようだ。
重い木製のドアを開き、お店の中へ入ると、店主が奥の席に手を向け、「お待ちしているようですよ」と言う。
この店は喫茶店とバーを合わせたような飲食店で、未成年の俺も連れて来れる事から、四木さんとの待ち合わせによく利用している。
昔はよくこの店に一人でお茶していた。
何も望んで一人な訳じゃなくて、四木さんが待ち合わせに来なかったのだ。
約束した時間を過ぎてから、急な用で行けなくなったと連絡が来る事もざらで、ひどい時は連絡すらなかった。
今思えば、あの時四木さんは本当に忙しかったのかもしれない。
あまり多くを語らない人だから、見誤ってしまう事もよくあった。

店の奥の方へ足を運ぶと、四木さんの姿が見えた。
カウンターに向かって煙草の煙を燻らせている。
四木さんは後ろ姿が一番かっこいい。

「先に来てたんだ、四木さん」
呼びかけながら、隣の席に座り店主に紅茶を注文する。
「おや、学校帰りですか」
俺の制服姿を見て、四木さんが言った。
「おう。いったん帰ろうかと思ったんだけど、ちょっと時間なくて。……あ、わり。あんたそう言えば制服のカッコ嫌ぇだったっけ」
「嫌いと言う訳ではないんですが」
四木さんは頬杖をつきながら、俺を見やる。
「目立ちませんか?私と、六条さん。まるで私がいけない事でもしているようです」
言われた通り四木さんと自分の姿を見下ろすと、なるほど確かに援助交際でもしているように見える。
思わず俺はふき出して笑ってしまった。
「っはは、実際いけないコトしてんじゃん」
「それを言われてしまうと、何も言い返せないですね」
「それに俺と二人で居る時より、あんたと赤林さんとのセットの方が絶対目立つって」
「確かに、赤林さんは単体でもひどいもんですからね」
穏やかに小さく笑っている四木さんからは、機嫌のよさが窺える。
よし、今だ、と思って赤林さんとの事を話し出そうとした。
その矢先、そう言えば、と四木さんが切り出してくる。
「赤林さんが客先から珍しいバイクを譲り受けたようで、携帯で写真撮って、あなたに見せたいとか言ってましたよ」
「へぇ、そうなのか。メールで送ってくれりゃいいのに」
俺のその言葉で、ぴく、と四木さんの眉が動く。
「アドレス、教えたんですか?」
しまった、と咄嗟に思った。そしてそれが表情に出たかもしれない。
赤林さんにはあのキスの件があった後、連絡先を教えておけと言われていたのだ。
いやでも、と渋ると、「あの事、俺の口から四木の旦那に言っちゃうよ~?」と言われつい教えてしまった。
すべてを一から説明するには、完全に言うタイミングを逃した。
「……教えちゃマズかったのか?」
なんとかそれだけ返事をすると、四木さんはグラスに残っていたウィスキーをぐいっと呷った。
「なぜ私が、六条さんを会長に紹介したか、分かりますよね?」
俺はこくりと一つ頷いた。
それは俺がこの先も、粟楠内でうまく立ち回れるだろうと四木さんが判断したからだ。
粟楠内で少しでも火種になるような事はするなと、そう言いたいのだろう。
四木さんをちらっと見上げると、表情は固く、手持ち無沙汰に煙草の箱をいじっている。
さっきまでの機嫌のよさが嘘のようだった。
四木さんは新しい煙草を取り出し加えると、火を付けろと言うように顎をくいっと上げる。
普段はそんな事すると怒るくせに。
俺は四木さんのジャケットのポケットに手を入れてライターを取り出すと、火を付けて煙草の先端に近づける。
瞳を細めて一服する姿が、憎らしいのに格好いい。
「出ますよ」
席を立ち、さっさと出口へと向かってしまう。
あーあ、本当にあんたって勝手だよ。




道なりに歩いて行く。
もちろん四木さんは俺と歩調を合わせたりしないで、すたすたと先に行ってしまう。
今機嫌が悪いから、と言う訳ではなくて、それはいつもの事だった。
だから俺は特に気にもしないで、周囲の店のディスプレイを眺めつつ、四木さんの後を付いて行く。
どうせこの後はホテルか粟楠の事務所か、四木さんの家だ。
年齢差と性格に余りにも違いがあり過ぎて、俺らの行く場所なんて限られてる。
四木さんが俺に合わせて、ゲーセンやカラオケに行く訳もない。
でも俺は別にそこに不満があるわけじゃなかった。
ゲーセンに行きたきゃ、ハニーや友達と行けばいい。
俺に少しの不満があるとすれば、それは四木さんの機嫌によって俺の世界ががらりと変わってしまう事だ。
一日の間に天国と地獄を行ったり来たり。
この人と居る限り、安定や平穏なんて日々は訪れないのだろう。

「ろっくじょうくーん」
唐突に聞こえたその声は、軽率で馴れ馴れしいものだった。
てっきり知り合いかと思って振り向けば、途端に肩を強く押されて、コンクリートで出来た壁に押し付けられる。
「痛って・・・!何しやがる・・・!」
「あれ?痛ぇの?ウワサによればすごーく打たれ強いって聞いたけど」
見上げれば、若いがガタいの良さそうな男が3人。いや4人だ。
俺の名前を知っていると言う事は、To羅丸絡みだろう。
すでに木製バッドを持っていたので、俺も遠慮なく懐から兜割を引き抜いた。
「手前ぇのシマは埼玉だろうがぁ!とっとと帰れや田舎モンがぁ!」
頭を思い切りバッドで殴られ、路地裏まで吹っ飛ばされた。
あえて避けなかった。
本当はちょっとは痛いが、何でもない風を装って、反動を付けて立ち上がる。
その方が恐れを抱いて逃げて行ってくれる事が多い。
いつもならケンカも受けて立つが、俺は急いでいた。
早くこいつら巻いて四木さんに追いつかなきゃならない。
「一対多数とは気にいらねぇなぁ。人数が多きゃ俺をボコれると思ったのかよ?あいにく俺は・・・」
おどしの口上を並べていると、不意に人影が視界に入ってきた。
また一人増えたのかと横目で見やると、俺は驚いて言葉が止まってしまった。

「四木さん」

後ろに居る俺に一切目線もくれないくせに、なんで居なくなった事が分かったのだろう。
「ああ?なんだ、手前ぇ・・・」
不良らが四木さんの方を睨み付ける。
少しの逆光と距離で、まだはっきり姿が分からないようだ。
「やれやれ、六条さんは厄介ごとに巻き込まれるのが好きですね」
言いながら四木さんはゆっくりとこちらに近付いてくる。
ただならぬ気配に、不良らの動きも止まっていた。
「人をドMみてぇに言うなよ。でもよく気付いたな。俺が途中で追いつけなくなったの」
「あなたが背後に居るか居ないかぐらい、分かりますよ」
四木さんが俺の横を通りすぎて、先頭に居た男の一人と対面する。
その時ようやく、四木さんの顔にピンと来たようだ。
「手前ぇは・・・!」
四木さんは男の顔を片手で掴み、口を封じた。
かなりきつく掴んでいる事が、男の苦しそうな表情からして分かる。
空いた片手はポケットに突っ込んだまま、口端をつり上げて笑った。
「誰の女に手ぇ出してんのか分かってやってんのか?ああ?」
「ぐっ・・・は、離せ・・・っ!」
まるでめきめきと音が鳴っているように、男の顔が歪んで行く。
俺は何から驚いていいのか分からず、ただただその光景を眺めているだけだった。
「俺が粟楠の四木だって分かって手出ししたんなら、命はいらねぇって事だよなあ?」
四木さんが腕を力強く払うと、男は地面に仰向けに倒れ込んだ。
そこへすかさず男の肩を、革靴の踵で打ちつけ、身動きを取れなくする。
「ひっ・・・!」
四木さんがジャケットの内ポケットに手を入れたと思ったら、そこから出てきたのはなんと拳銃だった。
今まで傍観していた男の仲間達は、それを見て叫びながら一斉に逃げ出した。
四木さんは顔色一つ変えず、銃口を男の眉間に押し当て、目線を合わせる。
「二度目は無い。手前ぇの仲間にもきっちり分からせておく事だ。誰のシマで遊ばせてもらってんのかをな」
男は言葉もなく、無言のまま必死に何度も頷く。
そのまま失神するんじゃないかと思うほど、瞳孔が開いていた。
四木さんが銃をしまい体を離すと、男は這いつくばる様に逃げ出した。

(チャカなんて初めて見たぜ・・・)
俺は思わずごくりと唾を飲み下した。
「どうかしましたか?」
すでに何事もなかったように、四木さんは俺に向き直る。
「いや、四木さんて・・・やくざだったんだなって」
「何を今さら」
溜息を吐き出しながら、四木さんはまた歩き出してしまったので、慌てて後を追った。
そして騒動の最中だったためうっかり聞き流したセリフを今になって思い出す。

『あなたが背後に居るか居ないかぐらい、分かりますよ』

俺の事、ちゃんと気にしてくれてるんだ。
普段の態度が冷たいから勘違いしてしまうが、こう言う事が起こる度、俺は思い知らされるんだ。
あんたにいかに愛されてるかって事を。

俺は四木さんに追いついて並んで歩くと、頭の後ろで指を組みつつ話しかける。
「あの銃ってホンモノだよな?オドシだからって本気過ぎんだろ」
「いえ」
俺は四木さんを横目で見やった。

「脅しと言うか、もう撃ってやろうと思ったんですけど。さすがにあなたの前では教育上よくないかな、と思いまして。まだ未成年ですからね」

思考に色々な言葉が巡って行ったが、一つも口には出せなかった。
そして俺ははっとして目を開く。

こんなんで赤林さんの話なんかしたら・・・と想像して、ふるふると首を振った。

絶対に言える訳がない・・・!

俺が青ざめている理由を、四木さんが知るよしもなかった。



<END>




いや、今となってはなんで描いたのかは分からない・・・


ドタろち2


ドタチンはドSでろっちーはドMだと思っています。
2011.01.26
正ろち絵
だいぶ前に描いたのですが、全体図をブログにアップするのを忘れてました。
アニメ塗りには、大体グローを使ってます。それだけで今時っぽくなりますよね。
流行りの絵になりたい!


この間ついったで、正臣は辛党、千景は甘党って話を聞いたんですよ。
なるほどー!と思いまして^^

千景さんの耐える顔が見たくて、辛いと評判のカレー屋さん誘う正臣。
強がりなので食べれないと言えなくて、涙目になりながら食べる六条
それをにやにやしながら見てる正臣。
もちろん辛いものが苦手なのも知ってるし、言い出せないことも計算済みだよ!

口直しをしたい六条は、その後正臣をカフェに誘う。
そしてイチゴチョコパフェを注文し、甘いものが凄いニガテな正臣に
「コレ美味いぞ?正臣、あーん」←悪気ゼロ
と言って食べさせる。
食べたくないけど、でも千景さんがあーんしてくれるなら・・・!
と頑張っちゃう正臣。
でも気持ち悪くてあとで吐きそうになる。

もう邪心を持つのはやめよう・・・と7度目くらいの決心をする←こりない



最近六条サイト巡りをしても、休止していたりジャンル変更していたりして
六条に出会えません><寂しい・・・。

結構昔に書いた四木ろちが出てきましたので、載せておきます。
時系列的には、一番古い話になります。
今までろち視点の一人称で書いてましたが、↓は3人称です。
そう言えば一人称小説、四木六で初めて書いたんですよね。
情緒や気持ちの移り変わりがメインなら一人称もいいですが、
ストーリーや設定にこだわりたくなってくると、一人称は向かないようです。



『不意打ち』




「なぁ、四木さん。昨日も狙われたんだろ?もうヤクザなんてやめろよ」

機会を伺って切り出した千景に、四木は片眉を上げた。
聞く耳を持たない様子の四木に、千景は畳み掛けて質問する。
「そのケガってそうなんだろ?あんた何も言わねぇけど、俺だってちゃんと分かってんだからな」
四木は煙を吐き出すと、近くにあった灰皿をたぐり寄せて煙草を押し潰した。
「あなたの方こそ、増えてるじゃないですか」
「え?」
千景は目を開いて問いかけると、四木が指差しする。
「ケガですよ。額に一つ」
「ああ、他校の連中とやり合っちまって・・・」
ガーゼの張られた額へと手をやる。
「って言うか俺のは擦り傷だろ。あんたのはざっくりやられちゃってるじゃねぇか。なぁ、それ膿んだりしてねぇ?」
千景が四木の損傷部に触ろうと手を伸ばすと、ぱしっと素っ気無く払われてしまう。
そうだった、客が少ない飲食店とは言えここは外だ。
周囲の目線がある時に、千景を近付けさせないのは昔からだ。
千景も前に比べて慣れたとは言え、それでもちょっぴり傷ついたように、ジュースを一口飲み込んだ。
「大体おかしな事を言いますね。暴走族もやめられない坊やが」
暴走族とヤクザでは次元が違う気もするが、確かに人の事は言えない。
千景は口を尖らせて、四木を睨むように見つめた。
「そんな事言って。俺が族やめたらあんたもやめるんだな?」

「おや、やめるんですか?似合ってたのに・・・特攻服」

不意打ちで紡がれた言葉に、千景は絶句してしまった。
四木が千景を褒める事なんて、そう滅多にない。
千景は押し黙った後、急に顔が熱くなってしまい、結局それ以上四木になんの反論もできなかった。


そしてそれから数日後の話だ。
千景が四木に会うなり、驚いた表情でこう言った。

「なぁなぁ四木さん!この間言ってた他校の奴が闇討ちにあったんだってよ!」
「・・・怖い世の中ですね」

そう言って四木はまた煙草を咥えた。
まさか裏でこっそり四木が締め上げたとは思いもしない千景は、日頃の行いだよなー、とのん気に笑っていた。




今までなんの行事ネタもやって来なかったのに、なぜか四木ろちだけは頻繁にやってしまいます。
任侠に正月はお似合いですしねv
バレンタイン四木ろちとか考えると今から楽しいです。



『新年早々』四木ろち




「四木さん」
そう呼びかけると同時に、白い息が広がった。
今年は例年より少し寒いらしい。
さすがの四木さんも、外に出るときは真っ黒な長いコートをはおっていた。
四木さんとは、クリスマスの数日後に会ったきりで、ちょうど一週間ぶりだ。
その間まったく連絡がなかったあたり、四木さんっぽいと不思議に納得した。
俺の姿に気づいた四木さんは、なぜかじろじろと見つめてくる。
「……六条さん」
「え?何だ?」
溜息交じりの呼びかけに、首を傾げる。
「今日は粟楠会の正月の挨拶に行くって言ったでしょう。そんな格好でどうするんです。まぁ分かってましたけどね」
四木さんは早々と歩き出してしまった。
慌ててその後ろを付いて行く。
「聞いてたけど、赤林サンとかだろ?普段着じゃ駄目なのか?」
「いつもだったらいいですけど、正月はちょっと。それに今回は特別なんですよ」
「特別?」
四木さんは軽く咳払いした。
「まぁ、あんまり気構えなくていいですよ。とりあえず服を揃えに行きましょう」
そう言って四木さんが向かった先は、老舗の百貨店の着物のお店だった。
仰々しい店構えに、思わず腰が引けてしまう。
こんなにちゃんとしなきゃなんないなんて、やっぱりヤクザって大変なんだな……と妙な所で感心してしまった。
四木さんが店員に何かを話しかけた後、俺の方に振り返る。
「ああ、そう言えば」
「ん?」
「着物は男物と女物、どちらを用意すればいいんですか?」
俺はおとなしく、動揺は微塵も表さないで、男物でお願いします、と言った。
なんつー事を聞いてんだあんたは!



紋付袴なんて、まさかこの年で着る事になるとは思わなかった。
普通は成人式で初めて着る、と言う人が多いだろう。
意外と重くて歩き辛い。
待たせておいたらしい車で目的の場所まで行き停車すると、外から誰かにドアを引かれた。
先に四木さんが降り、俺も続くと、ずらっと黒スーツの集団が出迎えていた。
いつもの粟楠会の事務所ではない、どこか違う場所だ。
緊張しながら黒スーツの間を通り抜けて、大きい玄関までたどり着くと、俺は四木さんの服を引っ張って耳打ちする
「なぁ、ここどこだよっ。もしかしてすげぇ大きい行事なんじゃねぇのか?」
「ここは粟楠会が持っている五月邸と呼ばれる施設ですよ。正月とか襲名式とか、そう言う大きなイベントがある時に使うんです。靴、脱いで下さい」
俺は言われた通り、草履を脱いで揃えておいた。
とんでもない所に連れて来られたのではないだろうかと思い、凄くどきどきして来た。
確かにこれじゃあ普段着では、あの車を降りる事すら適わなかっただろう。
「スリッパは履かないで下さい。裾は引き摺らないよう。私が先に入りますから、六条さんはその後に。畳になりますが正座は崩さずへりには座らないで下さい。敷居は絶対に踏んではいけません」
「え?そんないっぺんに覚えられねぇ……つか俺これから誰に会うんだよ?」
赤林さんとか青崎さんに、そんなに気を使う必要があるのだろうかと眉を寄せる。
四木さんは何も答えないまま、ある襖の前に来ると、廊下ですっと腰を降ろした。
何がなんだか分からずぼうっと立ってると、お前も座れと手で合図をされる。
「新年のご挨拶に参りました、四木です」
すると部屋の中から、「入れ」と言う声が聞こえた。
四木さんが、何度かにわけて襖を開けると、ようやくその声の正体が分かった。
粟楠会の会長、道元。
そしてその息子の、確か幹彌と言った名前のはずだ。
俺はどっと汗が出てきた。
写真と四木さんの話では聞いた事もあったが、実際に対面するとまとっている空気の重さが違う。
自分のチームでの抗争で、ケンカが強いヤツに会うことは良くあるが、そいつらがいかに薄っぺらいかを、たった今この場で思い知った。
「失礼します」
四木さんが頭を下げて和室に入る。
俺も見よう見まねで、同じ動作を繰り返し座布団に座った。
「会長、若。明けましておめでとうございます」
多分名前を呼ぶ順番も関係あるんだろうな、となんとなく思った。
「ああ、昨年のお前の活躍は聞いているよ。画を描いた通りカタにはめてるらしいじゃないか。今年は少し力を抜いて、のんびりとやってくれ」
「有り難うございます」
「それで?随分と若いのを連れて来たみたいだが」
幹彌さんがちらっと俺を見やった。
四木さんは俺の方に指先を向け、はっきりと言う。
「私のイロです」
さっきから聞いた事のない単語がよく出てくる。
ともかく紹介されたのだと思い、俺はぺこっと頭を下げた。
「……ろ、六条千景です」
自分の声が少し上擦っていた事にびっくりした。
俺が萎縮する事があるなんて。
そんな自分に負けまいと、俺は気合を入れ直して顔を上げた。
「道元さんと幹彌さんの事は、四木さんからよく聞いています。よろしくお願いします」
簡単に挨拶の言葉を言うと、もう一度深く頭を下げた。
これでよかったのだろうか。
正解なんて何も分からなかった。

その後部屋を退室し、玄関を通ってまた車に乗り込んだ。
運転手が静かに車を発車させると、四木さんが大きく息を吐き出す。
「大丈夫か?あんた随分緊張してたもんな」
四木さんの顔を覗き込むと、俺を見つめて来る。
「あなたって凄いですよね、本当」
感心してるのか馬鹿にしているのかよく分からない感じで言われてしまった。
「俺だって緊張したっつの。てか言ってくれよ!もっと前もってさ。まさかあんな大物出てくると思わないだろ」
「いや、なんせ私も自分の事で手一杯でして」
「あーもう絶対失礼なヤツって思われたよ!俺礼儀作法なんて知らないし」
四木さんは車の座席に座りなおし、煙草を口に銜えた。
火をつけ、煙を深く吸い込むと、ようやく落ち着いたようだった。
「いえ、そうでもないですよ。多分」
「そうかぁ?」
「ええ。昔誰だかが連れてきたイロが気に入らなくて、その場で袋叩きにしたと言う話もあるぐらいですから」
「そうなのかー……いや、それ俺がそうなった可能性もあったって事じゃね!?」
俺が突っかかると、四木さんは煙をくゆらせながら、不敵に笑った。

「なぁに、そうなったら私が守りますよ。命に代えてもね」

こんなセリフがさらっと出てくる所は、昔とだいぶ変わったのかもしれない……。





そして車は、今度は本当に粟楠会の事務所についた。
勝手知ったるよその家、と言った感じで、俺はほっと一安心する。
3階の四木さんが私室として使っている部屋まで来ると、内装が変わっている事に気づいた。
「あれ?パソコン?」
机の上に機械が並べてある。
「今時パソコンでも出来ないと、ヤクザもやってられないんですよ。嫌な世の中です」
「へー意外……。あ、額縁の絵も変わってんな」
俺が部屋の中を眺めていると、四木さんがすぐに戻ると言って出て行った。
一人残され、なんとなく部屋から窓の外を眺めてると、扉がノックされた音が聞こえる。

「四木の旦那ぁ。もう会長に新年の挨拶行きました?俺腰が重くってなかなか……」

部屋に入ってきたのは、赤林さんだった。
俺だと分かると、びっくりしてグラサンを外した。
「お嬢ちゃん!久しぶりだねぇ」
「久しぶり、赤林さん」
「いや、最近姿を見かけないし、四木の旦那もあんな感じだから……そうか、へへぇ。なるほどねぇ」
何かを色々察したようで、赤林さんは自分の顎を撫でながらふんふん頷いている。
「まぁ、多分あんたの思ってる通りだよ。これからまた出入りするけどよろしくな」
「そうかい。そりゃ賑やかになっておいちゃんも嬉しいが、そうだ。せっかく新年だし、みんなに挨拶していったらどうだい」
「四木さんが戻って来たらそうすっかな。さっき五月邸ってトコに行って来たばっかなんだよ」
赤林は顔を歪めて、のけぞった。
「ええっ?!ってことは会長と若にって事かい。道理でそんな紋付袴なんて着てると思ったら。そりゃあ……そうか、そいつは凄いな。お嬢ちゃんも四木の旦那も」
「どう言う事だ?」
「どう言う事って、会長に紹介するって事はだよ。俺は一生コイツと添い遂げますぜって事さ」
それを聞いて、俺は言葉を失った。
そんなに重い意味があるなんて、まったく分からなかった。
でもヤクザな世界からすると、自分の親に婚約者を紹介した、みたいな意味だったのかもしれない。
俺は一通り動揺した後、耳まで顔が熱くなった。
「いやーまさか四木の旦那がそこまでするなんて。相当なワザでも持ってんのかね嬢ちゃんは……」
赤林さんがしばらく何やらぶつぶつと呟いていたが、俺は四木さんの事で頭がいっぱいで、何も聞いていなかった。
四木さんがそんなふうに思っていてくれたなんて、心の底から嬉しかった。
「……聞いてる?嬢ちゃん」
「え?あ、悪い全然聞いてなかった。つーか嬢ちゃんってやめろよな」
「はいはい、千景ちゃん。だからおいちゃんにもちゅーしてくれよ」
「な?え?な、なんでそんな話になってんだよ!」
「四木の旦那のイロって事は、旦那と知己なおいちゃんの大事な人でもあるって事!ホントはおいちゃんに抱かれなきゃなんないのよ?」
「えええ、いや、無理無理!俺男はどっちかっつーと苦手だって!」
「だからちゅーぐらいで我慢してあげるって言ってんの。じゃないとうちの世界ではシメシつかねぇって追い出されちまうぜ?」
赤林さんの腕が俺の背中に回ってくる。
俺は肩を掴んで上体をそらした。
「で、でも……」
「せっかく四木の旦那が誠意見せてくれたんだし、千景ちゃんも頑張んないとね」
四木さんの顔が頭に思い浮かぶ。
眉を寄せて、赤林さんをじっと見つめた。
四木さんがそんなに俺の事を思ってくれたなら、俺も期待に応えたい。
俺は仕方なく意を決すると、ぎゅっと目をつぶって顎を上げた。
背伸びをして、赤林さんの肩口の服を掴むと、唇に柔らかい感覚が当たった。
それですぐに退こうとしたら、背中に回された腕にぐっと力が込められて逃げられなくなってしまう。
顎を掴まれて口を開かされると、舌が侵入して来る。
「!ッ……っ、~~……っ!」
服を強く引っ張ると、しばらくたった後ようやく赤林さんが体を離した。
「な、な、……何すんだよ……っ!」
「ちゅーって言ったらこんぐらい普通でしょ。やっぱ若いねぇ」
俺は唇に手の甲を当てて反論しようとすると、部屋に四木さんが戻って来た。
「四木さん……!」
助かった!っと言う気持ちで安心する。
「おや、赤林さん。来てましたか」
「お邪魔してましたよ。久々にお嬢ちゃんと会えましたしね」
四木さんはどかっとソファに座ると、足を組んで嫌そうに眉を寄せる。
「まったく、六条さんに余計な事をしたりしないで下さいよ。会長に紹介した今、六条さんに手出しされたら殺されるのは私なんですからね」
そのセリフを、頭の中で繰り返す。
今の赤林さんのって、手出しをされた内には入らないのか?
それとも赤林さんと四木さんは知己だから、例外なのか?
色々考えてると、赤林さんが部屋を出て行こうと歩き出す。
「分かってますって。四木の旦那。それじゃあね、千景ちゃん」
手を上げられたので、俺も咄嗟に手を振り返した。
そして赤林さんは、付け足したように言った。

「さっきの事はおいちゃんと二人の秘密だよ」

完全にはめられた。
俺はその場に固まって、頭が真っ白になってしまった。
赤林さんが去った後、当然ながら四木さんは、俺に問いかけてくる。
「なんですか、秘密って」
「いや……別に大した事じゃねぇんだけど……はは」

俺はそう言って、ただただ苦笑いを浮かべる事しかできなかった。

くろ太さんが四木六の絵を描いてくれました!
二人とも四木六のテンション高いので、六条WEBアンソロも四木六で行きます><
ここまでマイナーだともはやマイナーだとすら思わない。でも好き!
この絵に合わせた小説も書いてみました~^O^
ファーストクリスマス』の続編です。
年内更新はこれが最後です。
ご覧頂いている皆様、今年は有り難うございました!
来年も六条で盛り上がりましょう~^^





『アフタークリスマス』


インターホンを押すと、鍵の開く音が聞こえる。
ドアが開き四木さんの顔が見えると、なんだか少しだけ緊張した。
あのクリスマスの日から、二日がたって、今日は27日だ。
嘘みたいな偶然から、俺と四木さんは再び関係を戻す事になった。
改めて四木さんの姿を見ると、あれは嘘なんかじゃなかった事が実感できる。
「迷いましたか」
そう言って四木さんは俺を部屋へ招き入れた。
「やっぱ都会ってワケ分かんねーな。人も信号も多くてごちゃごちゃし過ぎ」
「愛車はどうしたんです」
「地元の駅に置いて来た。こんな所で乗ってたら人ひいちまうよ」
四木さんは少しだけ笑いながら、俺の着ていた上着を脱がしてハンガーにかけ、帽子を取ると唇を合わせる。
「そろそろ、厚手のコートでも着たらどうです。寒いでしょう」
以前と違うのは、あたりがやわらかくなったかな、と思える事だ。
前だって優しいとは思っていたけど、うっかりすれば見落としてしまうぐらいの優しさだった。
「そんな寒がりじゃねぇんだけど、でも今年は新調す……」
返事を最後まで待たずに、四木さんは革張りのソファに俺を押し倒して来る。
「わっ……っと、四木さん?」
「コートが欲しいなら、買ってあげますよ」
俺の手を取り、視線を合わせて来る。
「あ、いや別に」
「それともアクセサリーがいいですか?私と揃いの指輪でも」
正直に言うと、それはちょっと欲しいと思った。
でも四木さんの指先に目線をやると、いかにもやくざな商売ですって感じの指輪で、俺は思わず首を横に振る。
そんな会話をしてる間にも、四木さんは俺のシャツのボタンを上から順に一つずつ外して行く。
意外とがっつくんだよな、と口に出したら怒られそうな事を思った。
四木さんは俺のシャツの前を肌蹴させ、ベルトを緩めてファスナーを下げる。
細くて角張った指が、肌を這った。
この指が、どれだけ器用に動くかを知っている。
俺は唾を飲み下した。

四木さんは行為中、いつも静かで、さめた目をしている気がしてた。
俺が上に乗ってなかなか動けないで居た時も、煙草を吸い始めた事なんかもあった。
だから俺だけ興奮してるなんて恥ずかしくて、いつも声を出さないように必死に押し殺してた。
もし誰かが俺らの行為を見る事があったら、そんなに静かにしなくても、と思うほどだっただろう。

「痛くないですか?」
そう言えば、二日前のクリスマスの日にも、そう聞いてきた気がする。
俺はいつものクセで、一度頷いたっきり、声を我慢するのに必死だった。
今度は薄目を開けて、ぽつりと呟くように言ってみる。
「・・・痛くない」
そう言うと、四木さんはどこか安心したような表情を浮かべた。
そして俺の体に手を回すと、ゆっくりと腰を動かし始める。
中が擦れる感覚が伝わってきて、つい口が開く。
いつもならもっと耐えられたはずなのに、細い視界から僅かに見える四木さんが、俺を見つめている事に気がついてしまった。

「んぅ……っぅ、ぁ、あ……っ」

自分でも信じられないくらい甘い声が出て、咄嗟に手のひらで口を押さえる。
羞恥で耳まで熱くなり、顔を思い切りそらした。
四木さんの顔を見るのが怖かった。
どうせ冷めた目で、やれやれと溜息をつかれるのだ。
ふと、耳元に四木さんの唇が触れて来る。
「ここ……、好きですか?」
そんな事を聞かれたのは初めてだった。
四木さんの声が艶っぽくて、心臓の音が早くなって行く。
「……っ」
俺は口を手で押さえたまま、無言でこくこくと頷いた。
何故かは分からないけど、涙が溢れそうだった。
すると四木さんは、俺がいいと言った箇所に、何度かぐりぐりと刺激を与えて来る。
「ぅっ……く、……ッ」
眉間に皺を寄せ歯をぎりっと噛み締めると、四木さんが俺の顔から手を離させた。
「……もしかして、声、我慢してるんですか?」
もしかしても何も、見て分かるだろう、と言ってやりたい。
文句の代わりに、俺は小さく頷く。
「……辛いんだと思ってました」
「今まで?」
驚いて思わず俺はそう言葉にした。
今度は気まずそうに四木さんが頷く。
「今までずっと、六条さんは痛くて辛いから、そんな苦しそうな表情をしているのかと」
「そ……そんなワケねぇだろ……っ四木さんが冷めた顔ぇして黙ってっから、俺だけみたいで恥ずかしいんだよ……っ」
四木さんにとっては意外な事実だったのか、目を丸くしている。
そして再度俺に覆い被さると、唇を重ねて来た。
噛み締めていた歯を割って舌が侵入して来る。
口が半開きのまま、四木さんは腰を動かし始めた。
「ふ、ぁっ……ぁ……待っ……あ……っ」
四木さんの舌が邪魔して、唇が閉じれない。
荒い息と一緒にくぐもった声が漏れてしまう。
「やぁ……っあ、四木さん……っ」
名前を呼びかけると、四木さんの動きがぴたりと止まった。
うるさかっただろうかと、四木さんを上目で見やる。
そこには、初めて見た表情の四木さんが居た。
額が薄っすらと汗ばんで、呼吸を乱している。
熱っぽい目線で、俺の事をじっと見つめていた。

「六条さん……、……千景」

そんなのだけでもう、俺は達してしまいそうだった。
なのに四木さんが激しく揺さぶってくるから、声なんか我慢できるはずなかった。
「ん――っ……っぁ、あ……っ!四木さん……っ四木さん……!」
自分の高い声に、くらくらと眩暈がする。
俺が精を吐き出すのと同時に、四木さんの熱が最奥へ注がれたのが分かった。
なんだか頭がぼうっとする。
普段だってこんな大きな声、滅多に出す機会なんてないからかもしれない。
四木さんは俺の髪を掻き上げ、軽くキスをした。
ずるりと引き抜かれ腰を震わすと、急にひょいっと抱きかかえられた。
四木さんは数歩歩いて、ソファからベットに俺を移動させる。
何がしたいのだろうと思っていると、俺の肩に引っかかっていたシャツを剥がし、足元で止まっていたズボンも全て脱がせて、膝の裏を掴んで持ち上げた。
「な、何すんだよ……っ」
体勢が崩れてベッドに肘を付くと、四木さんが被さって来た。

「聞きたいんですよ、六条さんの声が。今度は我慢しないで下さいね」

皮肉な笑みで、俺の心を貫いて、駄目だなんて言える訳がないだろう!





ベッドでの情事を終えて、四木さんは縁に座って煙草をふかしていた。
変わらない煙草の匂い。
俺も隣に座って四木さんの肩に頭を乗せると、腰に手が回ってきた。
思わずぶるりと身じろぎする。
過剰に反応してしまう体に、いい加減疲れてぐったりした。
「あー……、体のうずきが取れねぇ。俺をこんなにしてどうすんの?風俗にでも埋めるつもり?」
四木さんは喉で笑った。
「そんな体にケガばかりの子供なんて売れませんよ」
「それもそうだな……」
妙に納得して、瞳を閉じた。このまま寝てしまいそうだ。
「疲れたし腹減ったなー。なんか食べたい」
特に何を期待する訳でもなく言ったのだが、予想外の答えが返って来る。
「ああ、冷蔵庫にケーキがありますよ。一応クリスマスって事で」
「え?マジ?」
勝手に開けていいと言われたので、俺は重い腰を持ち上げて、冷蔵庫に向かった。
庫内には、確かにケーキの箱と思われるものが入っている。
取り出してみると、見た事のあるロゴマークがシールに付いていた。
「うっわー、これ前ハニー達が言ってたヤツじゃん。確か凄ぇ並ぶとかって……」
まさか四木さんが並んでケーキを買って……と思ったが、さすがにそれをするはずがない。
きっと部下の誰かに買いに行かせたのだろう。
ケーキと、言われた通りシャンパンボトルも持って、四木さんの所へ戻った。
「有り難うな、これって有名店のヤツだろ?」
「そうなんですか」
あ、やっぱり買いに行かせたのか、と思って逆に安心した。
四木さんがボトルを手に持ち、栓抜きをしようと力を入れて引っ張り始める。
「俺やるぜ?」
「出来るんですか」
「いや、別に得意とかじゃねぇけど・・・、っと、開いた」
俺は難なく力にものを言わせて栓を抜くと、ボトルを四木さんに渡した。
シャンパングラスに色づいた液体を注ぎながら、四木さんが呟く。
「……たまに思い出すんですけど。六条さんって腕っ節が強いんですよね」
「俺?そりゃそうだろ。少なくとも四木さんよりは強いぜ」
「力で勝負する気はないですよ」
俺はケーキを1カットだけ皿に乗せると、四木さんが座っていたソファに腰を下ろそうとした。
すると四木さんの腕が伸びてきて、俺の腰を抱える。
膝の間に座る格好となって、なんだか気恥ずかしくて下を向きながら、ケーキを一口食べた。
「……ん、やっぱ美味い。四木さんも食うか?」
実はこう見えて、四木さんは甘いものが好きだ。
フォークに一口とって、四木さんの口に運ぶ。
「1カット取る?」
「いえ、そんなにいらないです。六条さんも」
「ん?」
四木さんはシャンパンを一口分だけ口に含み、俺の顎を掴んで口移しさせた。
こくりと飲み下すと、アルコールの匂いが漂ってくる。
シャンパンにしては強い酒なのか、くらっとして四木さんの方へ体を傾けた。
「四木さん、俺未成年」
「なぁに、少しぐらい」
「帰りバイクだって」
「車で送らせます。ここに泊まって行ってもいいですし」
"子供は早く帰るべきです、人目につくので先に出て行きなさい"
同時に昔言われたセリフも思い出した。
すべてが、俺の事が心配だったから、と言う訳ではないだろう。
短い期間に、四木さんも変わったのかもしれない。
俺は一つ息を吐き出すと、煙草を咥えようとしている四木さんの顔を見つめた。
「あんたにこんなに優しくされるなんて、なんか変な気分だ」
「ああ、それなら安心して下さい」
四木さんは声色を切り替え、はっきり言った。

「昔六条さんにしてきた事の、罪滅ぼしの日みたいなものですから。30過ぎて性格なんて、そう簡単に変わりませんよ」

あんたは俺に対してひどくしていたあの長い期間を、たった一日でなかった事にしようとしているのか。
やっぱり四木さんは四木さんだった事に、俺は驚いた後がっくりと肩を落とした。